力強く初めての1時間完走

 走り出して30分を過ぎても、両足は依然軽くて力強い。
 へぇ―と思った。昨日、自宅で1時間の筋トレをやったばかりで、辛ければ30分で止めるつもりだったから。試し走りだ。前半はどうしてもスピードが速くなりすぎるので、その都度、どちらか片方の腕振りをやめて速度を制御することも覚えた。
 集中力もそう長くは続かない。マンネリになると、心の中で歌をうたって走るテンポを保つことも思いついた。いくつか試したが、今のところ、元春の「サムディ」がテンポもいいし、エネルギーがわいてくる歌詞も最適。歌のナンバーももう少し試行錯誤して、数を増やしたい。ハーフマラソンは約2時間の長丁場なのだ。
 結局、人生初の1時間走を余力を残して終えた。1キロ5分ペースよりは速かったと思うから約13キロ程度か。ぼくの筋トレは加圧トレーニングといって、腕と足の付け根にベルトを巻いて血流量を制限した状態で、鉄アレイを使って行うもの。
 最近は多くのアスリートや芸能人にもひろがっている。このトレーニングは、当日夜に成長ホルモンが分泌されて筋肉の細胞分裂が盛んになることが、医学的な研究で明らかになっているが、今回の快調さはそのおかげだろうか。今度は2日間の間隔をあけて様子を見てみよう。
「おれ、この調子で練習を続けたら、オリンピック出ちゃうかもよ」
「アホちゃう」
 南米生まれのくせに、大阪弁の上達が著しい奥さんが短く一言。映画『氷の微笑』のシャロン・ストーンばりの冷笑だった。