「セレブの聖地」拝見〜昼下がり、銀座Sホテルのバー&ラウンジ

 仕事の打ち合せで、なぜか銀座Sホテルのバー&ラウンジに昼間行って来た。ここに出入りするのは初めて。なんでもネット検索すると、「世界のセレブきから愛されているスモールラグジュアリーなホテル」らしい。思わずオジサンが、後ずさりしてしまいそうな形容詞だ。
 しかも午後3時という中途半端な時間帯にもかかわらず、満員で待たされることになった。ひと組待ちだという。パッと見は有閑マダムの社交場かに見えた。その瞬間、「場違い」という単語が目の前でチカチカと点滅し始める。
 で先客と待っていると、打ち合せの方々到着。3人であれこれ話していると、いきなり、五厘刈りでスーツを着た20代チビと、黒いコート姿のセレブ風の30代女性が、ぼくらの前を素通りして店内にズカズカと・・・。なんなんだアイツラは。
「ここって、ああいうのが多いのよ。前に来たときも変なカップル多くてね、新手の連れ込み●●●みたいよね」
 と打ち合せ相手の一人の女性が言う。へぇ〜〜、そ、そうなんですかぁ。どうやら、オジサンの社会見学っぽくなってきたなと思ったら、その期待は裏切られなかった。
 ようやく店内に通されると、いきなり向かいのテーブルの女性の携帯電話がけたたましい着信音を立てた。セレブの携帯にマナーモードは装備されていないらしい。黒のセーターに銀色のスパンコールをキラキラさせた有閑マダムは、慌てて外へ走り出たかと思うと、廊下で大声で話し始めた。さらには「ちょっと、アンタ。●●さんから電話よ」と、アンタ呼ばわりで連れの女性に携帯を手渡して席に戻る。
 その隣の席は、神田のチケット安売り店員風の女性二人づれがにぎやかに話し込んでいるし、さらにその奥では、あんたは中世の貴婦人かい!とひとツッコミしたくなるような黒の羽根付き帽子をかぶりっ放しのおばさんが、口に手を当ててホホホホッとお笑いあそばしている。そのお隣が、さっきおれ達を差し置いて横入り、あるいは御曹司予約したチビネクタイと黒コート女で、ビールグラス片手に談笑中。黒コートの方は一瞬美形に見えたのだが、笑うと目尻にくっきり皺がシュプールを描く日焼けサロン風な小麦色顔で、元気のない奈美悦子さんといった顔立ち
 年末のスモールラグジュアリーは、割とごった煮模様である。