変なもの勝ち〜欠点は多くても見たことのない何か 

 ひさしぶりに新人のお笑いライブに行ってきた。すでに事務所に所属するプロもいれば、ニ―ト・ペア、現役東大生ペアもいて、当日券1500円の割には予想以上にレベルは高かった。日本人の日和見主義をキモカワイイ青年に託して笑いをとるコンビもいれば、ツービートのコピーや、横山やっさんの形態模写で笑いをとるコンビもいた。コピーが上手い器用なやつより、欠点も多いが観たことない何かに面白みを感じるのは、別にお笑いに限った話ではない。
 じゃあ、おれがやろうとしている仕事は、どのタイプなんだと考えるとハッとさせられる。無難じゃダメ、何かしら新しさがないと人は振り向いてくれない。ジャンルをとわず、形のないものを手作りする現場にはいろんなヒントが転がっている。今、お笑いをテ―マにひと仕事ができないかと思っている。
 誰もがせかせかと余裕のない世の中じゃ、教室でも職場でも変なヤツはシカトされるか、いじめられるしかない。一方、変であればあるほど笑いの金貨を引き寄せられるのが舞台という場所。30歳すぎても親からお小遣いもらっているという、とっちゃん坊やニ―トが、あるゲームの攻略法をマニアックかつ熱っぽくしゃべりつづけて、「キモ〜イ」といわれず、ちゃんと笑ってもらえるんだから。
 そんな変てこなヤツらとは最も縁遠いはずの有名企業やエリート家庭で、談合や不正や過失責任、そして家族同士での殺し合いが絶えることがない。近頃の「美しい国」はどこかエッシャーの騙(だま)し絵めいている。帰りの電車で見た星座占いには「人に頼らず、自分で仕事をつくれ」と書かれてあった。ラジャ〜!とりあえず企画書はできた。