*[視点]「わからない」のおかげでおもしろい 
前日のお笑い関連の企画書は、実現しそうな雲行きだ。今朝テレビを観ていてピンときたから、また別の企画書を書いた。タイトルは「『わからない』の向こう側へ」。ふふふ、これじゃまるで何のことか、読んでくれた人がわからないな。まっ、それはおいおい明らかになるから、少しお待ちください。
 で、その企画書をある編集者に送ったら、「これ売れると思いますか?」ときた。「いや、だからこれはさ、○○○でさぁ×△○×××○△・・・」結局、没だったので電話を切ってから、少し落ち込んだ。いったんは寝かせてみることにして、早く書かなきゃいけない原稿にとりかかった。

 で、仕事がひと段落して、気分転換に糸井さんの「ダーリンコラム」を読んでいて、グッときた。正解や正論ばかりが偉そうに幅を利かす近頃の風潮に、疑問を投げかける<よってたかって正しくしちゃう>というタイトル。一部抜粋させていただく。

ゾウに向かってさ
「鼻長すぎない?
 もっと短いほうが合理的っていうか、
 生きものとして効率的に暮らせると思うよ」なんてさ、
言えないだろう、ふつう。

人間も含めてさ、だいたい生きものってのは、
もっとああすればいいのにこうすればいいのに、って
お節介なことを言いたくなるくらいに、
基本的にまつがっているんだと思うんだよな。
だから、そういう生きものをとりまく世界が、
正しさに覆われちゃうと、無理がきてさ、
へとへとに疲れちゃうんだよ。

まず、最初の「鼻長すぎない?」でウケた。
 仕事部屋で声をあげて笑った。ハハハはははは母母歯はハハハハ・・・。そういえば、昨日もある人と話していて、なぜ「正社員」と「社員」の頭に「正」という字がつくのか?という話題になった。
「昔は従業員とか、ただの社員だったんじゃないの?」
「契約とか派遣社員が出てきてから、それと区別する意味で正社員って呼ぶようになったのでは?」
「でも、なんで『正しい』を意味する『正』の字なの?『常勤社員』とかでもいいのに」
「『正規社員』を略して『正社員』じゃないんですか」 
 そんな話になった。
 近頃のニュースみてたら、そんな「正しい」社員の中でも一番偉い人たちが、記者会見でルール違反を詫びて、ペコペコ頭下げてたりする。全然正しくもなんともないじゃん。糸井さんが言うみたいに、正しさに覆われて、無理がきてへとへとに疲れちゃってんじゃないの?
 みんな、正解とか正論とか振り回してるくせに、じつは何も「わからない」んじゃないのか。そう考えたとき、「『わからない』の向こう側へ」という冒頭の企画名が、あらためてキラキラと輝きながら、ぼくの心によみがえってきた。
自分のこれからの人生も、奥さんが考えてることも、じぶんの両親の一番大きな悩みだって、ぼくにもよくわからない。わからないから不安いっぱいで、わからないからドキドキして、だから生きてることは時にひどく残酷で、時にたまらなくおもしろい。糸井さんの言うとおりだ。「わからない」の向こう側へ、それぞれが試行錯誤を重ねながら進むしかない。う〜ん、いいタイトルじゃん、やっぱり!
 今日書いた企画書は、明日、他の人に送ってみることにする。