本橋成一「写真と映画と」(銀座ガーディアン・ガーデン) 

 北海道のあるチーズを持って、銀座の本橋成一回顧展「写真と映画と」を訪ねた。本橋さんの太陽賞受賞作「上野駅の幕間」や「炭鉱(ヤマ)」を初めて観た。新聞紙を敷き詰めて酒盛りしている男たち、線路にむかって立ちション中のオジサン、列車で故郷に帰ると告げて手ぶらでワンカップ酒を買い求める人、車窓に一升瓶を置いている素面の人・・・。60年代の上野駅の光景はじつに牧歌的で人間臭い。それを「幕間」と見つめる眼。
「非合理」―そんな言葉が写真キャプションにあった。国内外で、ふつうの人たちの暮らしの細部に目を凝らし、「効率」や「便利」とは一線を画した日常を生きる人たちが、モノクロとカラーで写しとられている。(6月1日まで。チェルノブイリ3部作の映画上映。新橋駅近くのリクルート本社G8ビル1Fでは、チェルブイリ3部作と「バオバブの木」の写真が展示中)