念願の三岸好太郎美術館(1)〜「虚無ヨリ生活ヲ始メタ」 

rosa412007-05-17

 モノクロで撮ると、ポプラの木はますます噴水めいている。太い幹に枝葉がうねりからみつくように空へと伸びているせいだ。三岸好太郎美術館のある北海道知事公館の敷地内にあった。
 以前から、札幌市で行きたい場所が二つあった。ひとつはイサム・ノグチ設計のモエレ沼公園、もうひとつが三岸の美術館。2年前は大雪かつ閉園日で、モエレ沼に行ったものの何も観れず終い。昨年は、モエレ沼公園は満喫できたものの、三岸美術館はあいにくの閉館日だった。
 好太郎は31歳で夭折している。その妻、節子はたしか90歳近くまで天寿をまっとうし、女性の書き手によって数冊の本も出ている。だが結婚後も女癖が悪く、短い人生だったせいか、好太郎についての著作は少ない。画家としては節子の方が圧倒的に有名。2年前、ぼくはテレビで好太郎の、海を渡る蝶の絵を観て以来、オリジナルをこの目で観たいとずっと思ってきた。その念願が先週の北海道取材の帰途、ようやくかなった。
 まるで白粉を仮面みたいに塗った人物たちを描いた初期の作品から道化師、最後は蝶や貝殻へといたる変化の激しい画題とその画風。お世辞にも美男子とは言いがたい本人のデカイ顔と、オシャレな服装。若き日の貧乏暮らしと放蕩、そして短い生涯。彼の軌跡はいかにも物語的であり、ポプラのように奔放だった。