インド料理「ボビさん」(新中野)〜人生で一番美味しいナン 

 韓国で暮らしていた頃、ひとつの鉄則をつかんだ。「キムチが美味しい店は、他の料理もうまい」というヤツだ。キムチは韓国料理の基本であり、ソウルフード。しかも、それなりの原材料を使い、手間をかけなければ美味しくならない。うまいキムチには原価をケチらず、美味しいものをきちんと提供したい、というお店の姿勢が投影される。
 日曜日のランチタイム、そのインド料理店で、最初にサフランライスだけを食べたら、しっかりと味がついていて美味しかった。初めて行った店だったので、ぼくの期待はふくらんだ。奥さんが注文したナンを食べたら、サフランライスを超える美味しさで思わず「うわっ!」と口走ってしまった。場所は渋いぞ、東京メトロ丸の内線「新中野」駅徒歩2分、鍋屋横丁交差点近くの「インド料理 ボビさん」
 ナンの生地はもちろん、いいバターを使っている。鼻をくすぐる甘く芳しい香り、噛むと口の中にひろがるバターのほのかな甘み。今まで食べた中で最高のナンだ。もう、そのナンだけでも大きいのを1枚食べられそうなぐらい気に入った。もちろん、御代わりした。
 一方、3種類のカレーを注文した。ひよこ豆と、ホウレン草、それとチキンとひよこ豆のカレー。一番美味しかったのは、ホウレン草カレー。たっぷりバターが使われていて濃くがあり、濃くのあるナンとの相性もいい。ひよこ豆も控え目ながらいい濃くを出しているが、他の2品はあっさりした美味しさ。そのうち、奥さんがチリパウダーを振りかけていたが、辛い方が好きな人はお試し下さい。ナンかサフランライスお代わり自由でカレー1品、もしくはカレー2品とナンかサフランライス。それぞれサラダとラッシーが付いて1050円。
 インド料理は、新宿駅東口の「ラージマハール」によく行く。奥さんが昔から気に入っている店だ。「ボビさん」よりカレーの味は濃厚だが、ナンは「ボビさん」ほど美味しくはないことがわかった。新たな選択肢が増えたことになる。
「でも、あそこはカレーが濃厚だから、ナンの味も濃いとクドクなるから、あれでいいのよ。ボビさんは、カレーがあっさりだから、濃くのあるナンが必要なの」
 おお〜っ、いきなりインド料理について語る彼女と、幸せな日曜日の始まりだった。