東京新聞❤ラブ!〜ミクロからマクロを貫く鋭利な洞察力 

 機会があれば、7月2日付け東京新聞朝刊26面の特集、「いじめと生きる」最終回を読んでもらいたい。
「臭い」「デブ」「チビ」子どもたちの遠慮のない本音に直面する中学校教師の言葉から、その記事は始まる。それに続くのは、理解の遅い子に合わせて授業を進めている彼に、「そんなことしてたら、うちの子の勉強が遅れる」とクレームをつけてくる親のエピソ―ド。
 それはJR名古屋駅近くで、ホームレス支援の雑誌を売るホームレスの男性の話につながる。彼が見知らぬ30代の男性から「どけ!自転車が止めれんやろ」と怒鳴られるのだ。そこは駐輪禁止区域にもかかわらず。そしてダメ押しは、昨年11月に御手洗日本経団連会長らが示した「労働ビッグバン」構想。
「企業活力を高めるためと、言えば聞こえはよいが、要は、労働者を守るために企業側に課せられていた義務や規制を大胆に緩和、廃止しようということ。利益のためには労働者を守る規制は邪魔ーという企業側の本音がむき出しである」
 子どものいじめは、大人のいじめにつながり、それは弱肉強食の世相へと波及していく。誰もがなんとなく感じている世の中の空気感を、近頃これほどまで鮮やかに切り取って見せた新聞記事を僕は知らない。