「ル・コルビュジェ展」(森美術館)〜なんてグラマラスな展示なんだ 

 は、恥ずかしながら、こ、こ、こんな巨人とは知らんかった。
館内を進むほどに、溜息が漏れた。30歳前後の彼の静物画が、幾何学的に再構成され、それがいわゆるコルビュジェ建築へと展開していく分かりやすさ。柱と梁(はり)を強化することで、既存の四角い建築を壊しながら、新たな造形美を切り拓いた推進力。その一方で、描きつづけられた幾何学的な絵画作品の混沌。アニミズムっぽさを増していく画風。あるいはシンプルでいて、なおかつ多層的な木製彫刻の寓話っぽさ。建築から壮大な都市計画へと膨張していく構想力・・・。
 六本木ヒルズ森美術館で開催中の「ル・コルビュジェ」展に出かけてきた。書き出すと、もう止まらなくなりそうだ。およそ3時間、たっぷり感応、あるいは堪能させてもらって、少々疲れたよ。さらに特筆すべきは、館内の豊富な資料はもちろん、コルビュジェ建築やアトリエなどの再現モデルや、DVDの見せ方の巧みさ(しかもコルビュジェのソファに座ってみる快楽!)。じつは今回が「初森美術館」だったが、そのプレゼンの多彩さも大いに満喫した。
 まず、コルビュジェの創造者としての巨人ぶり、それと対峙しようとするキューレターの真摯さが、天井が高く白を基調としたシンプルな空間を、とてもグラマラスに満たしている。