男子、いざ厨房へ(1)〜たたきキュウリの南蛮びたし 

rosa412007-09-29

 永田野菜の創始者、永田照喜治さんのご自宅に取材でお邪魔したときのこと。美味しい野菜をたくさんご馳走になった。野菜を細かく刻んで酢飯の上にかけ、調味料は一切使わずに野菜の甘みや辛味だけで食べる五目ちらしとか。そこで生キュウリが出されたのだが、包丁で切らず、すりこぎで叩いてから手で割られたもので、みずみずしいのはもちろんのこと、これも味が濃くて甘かった。
 なぜ包丁で切らないのですか?とたずねると、包丁の鉄分と反応して酸化し、味が変わってしまうからです、その永田さんの答えにぼくは呆気にとられた。野菜がそんなに繊細なものだとは知らなかった。
 うちの奥さんが、右写真の「たたきキュウリの南蛮びたし」をつくってくれた際、永田さん宅でいただいたキュウリを思い出した。見栄えがとても似ていたから。きのう、奥さんのメモを参考に、これを作ってみた。朝からピリリッと辛さがある野菜を、口の中でパリッパリッと音を立てて食べられる幸福はささやかで、そしてかけがえがない。ビールや焼酎との相性もいい。
 キュウリ4本をすりこぎで叩いてから手で割り、鶏がらスープの素をお湯100ccでといたものをベースに、赤唐辛子と生姜、酢と醤油とごま油少々であえて、30分もおけば出来上がり。キュウリ中央の種部分をこそげ取ってから漬けるのがミソ。味が薄くなってしまうからで、あっさりと捨てる。そう、男も44歳になれば、奥さんと仕事と走ること以外は、どんどん捨てていかないとね。
 水曜日から奥さんが帰省したので、時おり、男の簡単料理づくりについて書いていきたい。