空白の1日と、28年目の対話 

rosa412007-10-16

 江川卓小林繁。先週末、2人のツーショットに思わずシャッターを切っていた。
 2人が登場するらしい、テレビCMの撮影模様を、江川が司会をつとめるスポーツ番組で放映していた。2人が直接言葉をかわすのは、今回が初めて。あの「空白の1日」事件で、江川はドラフト会議前日に巨人入り。翌日のドラフトで江川を指名した阪神が、その見返りとして、巨人の当時のエース小林を獲得することになった。あれから、およそ28年が過ぎている。
 江川は当初金銭トレードと聞かされていたことや、一度2人があるレストランでニアミスし、江川はお詫びに行こうとしたら、小林が黙って手でそれを制したこと。あるいは江川の引退会見で、小林に直接会ってお詫びしたいと発言していたことなど、意外なエピソ―ドがいつくか明かされた。なんて気の遠くなるような時間の堆積だろう。
 時折、目を合わせたかと思うと、互いに伏せたり、考え込んだり、記憶を懸命にたぐり寄せようとしたりする。50代男の折々の表情が、静謐(せいひつ)な間合いが、ブラウン管になんともいえない緊張感をみなぎらせていた。 そんな2人とは無関係な場所で、球界の盟主などとのたまう球団の、えもいわれぬ下劣な腐臭は、あの頃からすでに放たれていた。