角川春樹最新句集『角川家の戦後』〜ことばの剣先が審(つまび)らかにするもの 

 15日の京都取材にそなえて、京都市内在住の友人新居に泊めてもらうために、前日夜に東京を発つ。旅の友は、俳句いや、川柳に凝る父親への手土産に買った、角川春樹の最新句集『角川家の戦後』。最近、スープをよく作っているという母には、辰巳芳子さんのあなたのために―いのちを支えるスープを買う。以下、グッときた句のいくつかを。


わたくしが 静かに腐る クリスマス

三味線と 煙管の箱と 吸入器

家族という 動かぬ闇の 晩夏かな

獄の冬 ペニスは暗い 森となる