念願の炒り番茶 

 夕方前、晴れやかな気持ちで土手を歩く。思いの外、いい取材ができたせいだ。誰も知らない、輝きのある言葉を今、自分だけが知っている。そんな気持ちの高揚感をかかえて、見晴らしのいい土手を歩きたかった。この昂ぶる思いと喜びは、書き手冥利に尽きるもので、他人にはうまく伝える自信がない。もちろん取材先を選ぶ、自分の嗅覚が間違っていなかったことの手ごたえも、同時に湧き上がってくる。

 
 その勢いで、京都市役所奥の一保堂茶舗をめざした。5時すぎの微妙な時間だったが幸運にも開業中で、370円の炒り番茶を5つ買う。都内にも一保堂はいくつかあるが、これだけは置いてない。安すぎて合わないんだろう。でもね、京都の名店『草喰なかひがし』をはじめ、いくつかの店がこのお茶を使っている。2年前は370g200円だったのが今や370円。おそらく人気が高まっているのだろう。自宅用3つ、実家にひとつ、友人宅へひとつ。


 さらに錦市場近くの、あるパティスリーを探すが見つからず、蛸薬師通りのパティスリーで、ドライフルーツケーキ購入。友人宅へ持ち帰ると、見た目よりは意外とあっさりした味で、子供から大人まで好評。しかし、先の炒り番茶を、友人宅の小学生2人が「大好き〜!」と声をそろえたのには言葉を失う。お、おまえら、このスモーキィーな香りと味は、かなり大人レベルやぞ。