横浜プチ休暇(2)〜茶碗から立ち上る湯気をくゆらす風 

rosa412008-04-26


 心地いい風だった。
 2階にある茶藝館の窓に面した木の机に日差しがさし込み、時おり爽やかな風がしのび込んで、手にした茶碗から立ち上る湯気をくゆらせた。その風と日差しに、窓枠の外側におかれたコデマリの白い花も揺れていた。
 

 台湾のホウ・シャオシェン監督の初期作品である「童年往事」や「恋々風塵」のスクリーンにも、そんな心地いい風が時おり吹き抜けていたことを思い出す。それらには、時代や人の心の移ろいが投影されていた。


 ホテルを出て、中華街の「清風楼」で、チャーハンと焼きそば、シュウマイを満喫。どれも美味しかったが、一見ごくありきたりながら、口にすると、飽きることなく永遠に食べ続けられそうなチャーハンがイチオシ。お粥(かゆ)の「謝甜記」と違い、ここは観光客より地元の勤め人で賑わっている。朝、ホテルから港の見える丘公園まで、ゆっくりと1時間かけて往復ジョギングしていたので、満腹でも大丈夫。


 お腹いっぱいでお店を後にして、ふらふらと歩いていて「悟空茶荘」を偶然見つけた。1階が売店で、2階が茶藝館。1000円前後と少々高いが、何度でもお湯を入れ替えてくれて、ゆったりとお茶を飲み交わしながら、ほっこりした時間を過ごすにはオススメ。熱いお茶とはミスマッチながら、ジンジャーココナッツアイスがクセになる。二人でとりとめない雑談をつづけた。お茶碗の湯気が風にゆれるのを、じっと見ていられることがうれしい。


 中華街の外れにある、いつも行く中国茶の販売店で、プーアール茶と武夷山岩茶を購入。店主である、白髪の穏やかなおじいさんが良心的でいい。つづいてリニュアルオープンした氷川丸の船内を見学。デッキではアン・サリーが、船内の食堂ではおそらく戦後?の歌謡曲が流されていた。エノケンの歌を思わせる、ゆったりしたスゥイング感が気持ちいい。近頃のギスギスした世の中なら流行りそうな気がする。
 プチ休暇感覚が、心の中にゆっくりとふくらむ2日間だった。さあ、連休中は地道に仕事しようっと。