韓昌祐(ハン・チャンウ)『十六歳漂流難民から始まった2兆円企業』〜豪放磊落なエネルギー

一笑一若 一怒一老
一日不作 一日不食

 この本の後半に出てくる、上記のフレーズがいい。
ひとつ笑いがあれば、その場を明るくし、本人の精神も若くなる。反対に、いつもイライラして怒っていると、それだけ人の精神は硬くなって老いる、という意味。著者の造語らしい。耳に痛い人も多いのでは?後半は、その日一日何も成さなければ、その日は食べるべからず、ということ。


 著者は16歳で朝鮮半島から渡日。法政大学卒業後、アルバイト先のパチンコ屋を譲り受け、現在のマルハン・グループを一代で築き上げた。いわば、「パチンコ王」の自叙伝。多くの差別や愛息の死などの困難にも屈することなく、2兆円企業を築き上げた77歳の座右の銘が、「一笑一若 一怒一老」の豪放磊落なエネルギーだという点がいい。


 戦前の在日という格差を前提に、自らの才覚と努力で成功をおさめた人の軌跡をたどると、到底敵(かな)わないなぁと痛感させられる。

 

十六歳漂流難民から始まった2兆円企業

十六歳漂流難民から始まった2兆円企業