神様が仰ってる(3)〜松本修『探偵!ナイトスクープ アホの遺伝子「龍の巻」』(ポプラ文庫)


 神戸、大阪で2本の取材を終えて、実家で一泊。正午過ぎの新幹線で帰京するため、新大阪駅構内の書店で出くわしたのが、この本。あっ、神様が読めと仰ってるなと直感。原稿を書く前の20分ほど、京都までちょっと読んでいくことにする。


 ジェームス・ブラウンの米国アポロ劇場でのライブを聴きながら、文庫本のページをめくる。ふふふっ、おもろい。気がつくと、「のぞみ」は京都駅に滑り込んでいた。まっ、名古屋までええか。・・・ふふっ、ふふっ。その「ふふっ」場面を以下引用する。大阪が誇る素人参加番組が、どのようにして生まれ、当初10%の視聴率もとれない時期をへて、いかに20年を越える長寿番組へと成長していくのか。その舞台裏を仕掛け人がつづった上下2巻もの。


 ただ、大阪人でないと、このニュアンスは伝わらないだろうことは、あらかじめ、お断りしておく。

「で、結論はどうつけるんですか?」と聞くと、
南野陽子は、ウンコはしないんや!アイドルは、ウンコは、せーへんのや!そういう結論でええんや!」
 と、断言しはったんです。それはもう、鮮明に覚えてますわ。
「そういう探偵番組なんや!そういうことを究明していくんや!」
「なーんや」
 と、それを聞いたときは楽になりました。とんでもない方向へ行って、アハハハと笑って、上岡(龍太郎氏)さんに「遊んできただけやないか」と言われるビデオでいいいのか、と。
「面白いことを言う人やなぁ。変わったはるなぁ。面白そうやなぁ。・・・・・・やろう!」

 上記の「ウンコ」の下りがもつニュアンス、それを「変わったはるなぁ。面白そうやなぁ」と受けとめるノリ。それこそが「アホの遺伝子」で、大阪という磁場がもつラテン感覚。他府県の人には、おそらく理解されないだろう。ええ、ええ、かまへんかまへん。


 名古屋到着のアナウンスがあったので、さすがに切り上げようと本を閉じ、足元を見て、あることに気づいた。
 コンセントがない。行きの「のぞみ」ではノートパソコンをつなげるコンセントが、側面壁の足元にあり、そこにつないで原稿を書くことができた。さすが、便利になっているなぁと思い、どの車両にも完備されているのだと勘違いしてしまった。実家で充電もし忘れた。ここで再び、神様の声が聞こえた。いや、聞こえたような気がした。
「わずか2時間ぐらい、せこせこせんと、そのまま読み終えてしまわんかいな」
 このときの神様はなぜか関西弁だった。


 素直なぼくは、品川駅を過ぎた頃に無事読了。ただいま、奥さんが読み始めた。毎週金曜夜11時半から、『探偵!ナイトスクープ』(東京MXテレビ)を2人で満喫しているせいか、彼女も栄えある「アホの遺伝子」に感染しつつある模様。