緊張と緩和の落しどころ


 たぶん、他人から見たら変な人だと思う。
いかに余分な力を使わずに歩けるか。どうしたら、楽に階段を上り下りできるか。近頃、そんなことをよく考えている。


 上体の傾き方や、肩甲骨や骨盤の動かし方、踏み出す足の脱力度合いとか。あれこれ試しながら、歩いたり、上ったり、下ったりしている。
「体操の動きには、必ず緊張と緩和があるんですよ。でないと、疲れちゃいますから」。男子体操の冨田洋之選手の恩師が、そう口にしたとき、ピンとくるものがあった。


 走っているときにふいに笑うと、肩や上腕の力が抜けるのを知ってたから。以降、緊張と緩和の落しところをさがすようになった。すると、発見するんだなぁ、これが。腕立て伏せの際に、肛門を閉めるようにすると、多少、肩や上腕の力が抜ける(気がする)。スクワットでは、意識的に両足の親指に重心を置き、おまけに腕をブラブラすると、心なしか力みが消える(感じがある)。


 この調子で、ちょこちょこ積み上げていくと、力みかえりやすい文章も、いつのまにか、落ちつきとゆとりを兼ね備えていたりするんだろうか。