空を見上げるとき、足元を見つめるとき(2)〜肉声のグラマラスさ

 一方の伊勢華子さんは、日本の離島をめぐることを続けてこられた。その着想、その行動の積み重ねがすばらしい。この日も、全島民数11人のある島で、小学校を存続させていることを話されていた。エコブームもいいけど、自分たちの足元にももっと見つめなければいけないことはたくさんある。日本には約5700もの島があることさえ、ぼくはしらなかった。


 それぞれの島から見える、わたしたちの社会はどんな姿だろうか。ふっと想像力が芽ぶく。


 空を見上げたり、足元を見つめる時間が、なんとも不足している。二人の話に耳をすましていると、そう痛感させられる。


 いたずらに慌しい毎日や、その中で指の間からこぼれるように、自分が見失っていることの多さにゾッとする。
 空っぽで騒々しいテレビやラジオにくらべて、2人の肉声の圧倒的なグラマラスさ。声音やイントネーションなどと組み合わさることで、言葉が立ち上がる瞬間のリアリティを想う。ネットの細切れ情報や、ストリーム映像より、今もっとも求められているのは、そんな肉声ではないか。


 ネットラジオをやろうと、F社長と盛り上がる。 


 伊勢さんの新刊です。

せかいでいちばん美しいもの

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