「ヒミング」プロジェクトの結実〜実人生とアートを重ね、一貫性を手作りする輝き

 
 アーティストの中村政人さんからメールが届いた。
 長年取り組んでいる、アートによる地域活性化プロジェクトのひとつ、富山県氷見市の「ヒミング」の中で、地元の伝統的な船の再生を果たしたというお知らせ(以下をご参照ください)。メールを読んだときに、中村さんの活動の、いや、その生き方の一貫性にグッときた。


 かつて、彼が銀座で行った「銀ブラアート」というイベントがあった。
 画廊やギャラリーが集積する都内のアートスポットである銀座の、むしろその路上にさまざまなアート作品を展示、あるいは進行させる趣向。それは悪く言えば、ショーケースの錬金術とでも言うべきアートの商品化へのアンチテーゼとして、商業主義からアートを奪還する試みだとぼくは思った。寺山修司の名作『書を捨てて町に出よう』を彷彿とさせる、60年代的な匂いを感じさせるゲリラ戦でもあった。


 その後、中村さんは、アートを地方活性化の手段として機能させるプロジェクトを始めた。それはゲリラ戦を一歩進めて、地方都市という明確な対象に向けて、何かを産み落とそうとするものだった。路上戦というベクトルを保ちながら、地域の人を巻き込むと同時に、地域在住のアーティストとの交流を促進。アートと人的交流という渦巻きによる町おこし。


 今回は、伝統的な船の建造という形で、文化を復興させたことになる。中村さんたちのアートへの愛と矜持が、その一貫したベクトルの営為の中で産み落とした果実。その一貫性の見事さに、ぼくは胸を揺さぶられた。いまどきの歪み、疲弊し、やせ衰えるばかりの世の中に、あるいは皆さんの周りに、そんな一貫性を生きる人たちを、いったい、どれほど見つけられるだろうか。


 そもそも、あなたの人生は、どんな一貫性を手作りしてきたと思いますか。

 今年で6年目になる富山県氷見市でのアートプロジェクト「ヒミング」の活動についてです。ヒミングでは、アーティストの創造力を街の活力とシンクロさせる 様々な活動を行ってきました。その中でも、木造和船の再生と保存を目的にした「天馬船プロジェクト」がいよいよ一つの節目を迎えます。


記念すべきヒミング天馬船第一号の完成です!
http://himming2008.jugem.jp/
http://bansyo.air-nifty.com/

 1000人以上の人々の御協賛金(ミニ天馬船レースへの参加登録費) とスタッフ全員の想いが一つに集まり、船大工の番匠さんの技術を通じて伝統的な天馬船が完成しました。今後は、2艘目の制作、再度ミニ天馬船レース、本物の天馬船によるレースや遊覧体験、船大工技術の伝承等と展開していきます。


 また、遠くは沖縄、秋田からこのプロジェクトを応援してくれた皆 様に改めて心より感謝いたします。本当にありがとうございました。さらに9月23日には、アートNPO法人ヒミングと して堀埜家の石蔵をリノベーションしたアートセンターがスタート します。今後ともヒミングの応援をよろしくお願いいたします。


中村政人
ゼロダテ http://www.zero-date.com/ 
Zproject http://kanazawa.z-project.jp/
コマンドN http://www.commandn.net/