谷本歩実選手の、懐のデッカイ言葉

 

 まず、あざやかな払い腰での一本勝ちにしびれた。押してきた相手の力を利用しての豪快な投げ技は、まさに「柔よく剛を制す」の真髄みたいな瞬間だった。
 試合後のインタヴューでの、以下の彼女の言葉にはもっとしびれた。

(決勝戦の相手)デコス選手は柔道をやってきた中で一番好きな選手。胸を借りるつもりで戦いました。ライバルが一番仲良くなるので、柔道を辞めたら語学を勉強していっぱい話したいです。

 なんて素直で、なんて懐の大きな言葉だろう。
 怪我で柔道ができない時期をへて、五輪決勝の大舞台で戦えることの感謝や喜びこそが、今日の彼女の最大の武器だったのかもしれない。オレの中には、どこを探しても、こんなデッカイ言葉は見つからない。