広島でのこと(2)〜手を合わせる人、ゴミを拾う人

rosa412008-08-20


 朝5時半起床で、曇り空の広島平和記念公園内外をジョグ。公園ぞいを流れる元安川は、土の歩道もあって足にやさしい。ジョギングやウォーキングの人たちともすれ違う。イサム・ノグチが設計した、平和公園にかかる橋(右上写真)を初めて見た。どこか宇宙っぽい。


 平和記念公園内を走っていた中年男性が、慰霊碑の前で帽子をとり、しばらく合掌している。ぼくも彼を真似て、慰霊碑前で手を合わせた。
「きのう、取材は無事終わりました。今日は平和記念資料館をしっかりと見て、いい記事を書きます」
 そう伝えた。散歩にきた中年女性たちも、それぞれしずかに手を合わせている。


 そのうち、雨が降り出す。すでにシャツは汗で濡れていたので気にせず、公園から出て元安川ぞいを下る。何人かのジョガーと散歩する人たち。彼らを尻目に一人黙々と空き缶をひろう中年女性がいた。
 ふいに、この雨がもし放射能を大量に含んでいたらと、想像してみる。まず、髪の毛が大量に抜け落ちて・・・、少し考えただけでも寒気がする。ホテルへ戻る途中、雨脚が強くなる。それでも、さっきの女性は、帽子ひとつかぶっただけで、空き缶拾いを黙々と続けていた。
 

 「平和」と書くのはたやすい。
 だが、それは無尽蔵な電気や水とは違う。誰かから与えられているものでもない。しずかに手を合わせる人たちや、黙々とゴミを拾う人たちの延長線上で、一人一人が、家庭や職場や街で創りだすべきもの。それは簡単で、難しい。