犬童一心監督『グーグーだって猫である』〜それぞれ孤独だからつながれる


 かっこ良く老けてやるぜって思ってる。
 立ち読みした雑誌に載っていた小泉今日子の、そんな言葉にドキッとさせられた。その前文で、自分が結婚には向いていないことがよくわかった、そう明言した上で出た言葉だったから。


 この映画の中でも、キョンキョンが演じる天才漫画家(大島弓子役)の恋人役の、こんなセリフがある。
「あんたの漫画、悲しいけど、元気が出るよ」
 さすが、大島ファンが集まって生まれた映画だけある。このセリフはそのまま大島作品のキャッチコピーでもある。もっと言えば、「いのち」そのものの核心。
「私の漫画は、たいして私を救ってはくれない」
 もうひとつのセリフは、漫画家である彼女が入院の際、看護婦に長年のファンだと告げられた直後に出てくる。
 この二つのセリフが映画の骨格。


 大島さんが漫画『グーグーだって猫である』の中で描いているのも、人と猫の別なく、それぞれ孤独だからつながれる命と命の関係性。その淡々とした日常の光と影。スクリーンの中で女性漫画家を抑制をきかせて演じながら、小泉の男っぷりがなぜか凛々しい。


グーグーだって猫である(4)

グーグーだって猫である(4)