高橋玄監督『ポチの告白』〜リアルな細部が築きあげた社会派エンターティメント 

 ちょっと告知が遅くなりましたが、映画『ポチの告白』が新宿K's cinemaで、先月24日から上映中です。友人のジャーナリスト、寺澤有くんが原案協力していて、ぼくは試写会で観せてもらいました。

 
 警察組織で、一人の生真面目な警官がたどっていく末路が、リアルな細部とエンターティメント性を加味しながら、きちんと描かれています。新聞各紙や雑誌にも、かなり好意的に取り上げられている。
 『突破者』の著者である宮崎学氏が裁判長役(笑える)、寺澤くんが裁判所職員役で出ているのも一興。外国人特派員協会が、映画に協力している点も、国内メディアにはないフレキシビリティを感じさせる。海外メディアから見れば、警察が腐敗するのは当然のことらしい。
 

 ちょっと長いけど、飽きさせない。
 要は警察にかぎらず、程度差はあれ、どんな組織にもありそうな話だから。警察を舞台にしながらも、単なる警察批判にとどまらず、その普遍性をもつ映画だから、会社員の人が観ても、グッとくるところはあると思う。とくに最後の場面とかね。経営幹部の責任問題が、なぜか派遣や一般社員の解雇によってあがなわれる、という近頃の世相みたいに。


 屈折感のある警察エリート役を演じている、俳優・野村宏伸と高橋監督の対談が、映画の公式サイトのニュース欄にアップされています。なかなか読み応えあり。