加藤昌治著『アイデアパーソン入門』(講談社)

 

 1月早々の発売にもかかわらず、お知らせが遅くなりました。
 昨年、この本の「先取りQ&A」製作会議に、私も出席させていただきました。加藤さん3冊目の本に、微力ながらお役に立てればという思いからです。出版社の一室で、10数名の参加者とともに、まだゲラ原稿の段階で読んだとき、初めて気づいたことがあります。『考具』、『アイデア会議』と、加藤さんがアイデアをテーマにしてきた理由についてです。


 本人に確認したわけではありません。あくまで私見ですと、お断りしておきます。


 考えることを大切にすることは、単なるアイデアの捻り出し方ではない。考える自分を、もっと言えば、自分の人生を大切にすることなのではないか。そう直感したときに、ああ、そういう意味では、加藤さんの本はすべて「丁寧に考え、丁寧に生きるための方法を提供する」本なんだと、一人合点したのです。
 同時に、そういうアプローチの人生訓ってあるんだという驚きでもありました。まあ、物事がよく見える人には、今さら何をといったことかもしれません。そりゃ考えることと生きることは不可分だろう、大発見めいた言い方をするなんて笑止千万、という方もいらっしゃるでしょう。


 それは加藤さんの、他人に対する誠実な向き合い方や、細やかな気の配り方、自然に身につけている謙虚さをもあいまって、ぼくの直感はそこに着地したのです。そういう視点で読むと、より一層、この本の馥郁(ふくいく)たる香気が、読者の心に広がっていくことでしょう。


 あのクラフト・エヴィング商會による装丁も、シンプルなくせにダイナミック(下図にはない、本の腰巻とのコラボレーションデザインは、是非書店でご確認下さい)。今回の本の新たな視座は「たぐる」にあります。それぞれにご満喫ください。


アイデアパーソン入門 (講談社BIZ)

アイデアパーソン入門 (講談社BIZ)