二神能基著『希望のニート』(新潮文庫)〜光栄な再刊に寄せて

 約4年前、東洋経済新報社から出版された上記書が、新潮文庫から4月に再刊されます。自分が制作にかかわった本が、文庫化されることはもちろん、それが中学生時代から自分が読み親しんできた文庫だということが、素直にうれしい。


 新刊本で増刷されるのが約3割。そこから文庫化されるのは、いったい、どのくらいなんだろう?さらに3割?しかも他の、さらには老舗出版社から再刊してもらえる幸運を想う。プロが見て、これは残すべきだと思ってもらえたことが、少なからず誇らしい。


 解説は、新書『悩む力』が昨年ヒットした、姜尚中東京大学大学院教授。
 すごく、たおやかな文章。こむずかしい漢字ではなく、むしろ、ひらがなで政治学を語る人らしい感受性が、垣間見えるように思う。たとえば、以下の部分。

 二神さんが指摘するように、学ぶ場所は学校だけではない。働く場所は会社だけではないという時代がきている。今、社会が必要としているキーワードのひとつは「間(あいだ)」だと思います。学校でもない、会社でもない、ものごとの「間」の可能性を模索することが必要になっています。ニートはまさにその「間」に存在しています。


 この本の冒頭「真面目な親が子どもを追いつめてしまう」をはじめ、ニートやその親にかぎらず、この本はより多くの親御さんにも読んでいただけるはずです。ご感想などお寄せください。


希望のニート (新潮文庫)

希望のニート (新潮文庫)