宇多田ヒカル3万字インタヴュー(雑誌『Cut』6月号)
梅雨入りをまえに髪を切りに行った。
ざっと切ってもらい、シャンプしてもらいに一度席を立ったとき、宇多田の顔が表紙の雑誌が目に入った。しまった、最初に見つけてたら絶対読んでたのに・・・・・・。そう思いながら髪を洗ってもらった帰りに、すかさず手に取り、席にもどる。
彼女の自伝に書かれた、10歳頃の彼女の心象風景を、インタヴュワーの渋谷陽一氏が引用している。
『諦め』という屍を苗床に『願い』と『祈り』という雑草が、どんどんわたしの心を覆い尽くしていった。絶望が深くなればなるほどこの雑草もたくまさしさを増すようで、摘んでも摘んでもまた生えてくる。やっかいなものだった。でも『願うこと』と『祈ること』は『求めること』と決定的に違う。それは『希望』と『期待』の違いと気付いた。それに願いと祈りをなくしたらわたしになにが残るだろう。人ではいられなくなるだろう」
これが彼女のへその緒か・・・・・・。無言でふんふんとうなづいてると、軽くドライヤーを当てられて、席を立たざるを得ないことになってしまった。あの、も、もうちょっと読んでてっていい? なんて粘る勇気はないので、さっさと立ち上がり、店を出た足で近所の書店に向かった。でも、6月号って、まだあるかな。(つづく)
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