「骨」展(21_21デザインサイト)


 機能美も、ぼくはけっして嫌いじゃない。
 「骨」展会場で、動物の骨のモノクロ写真の次は、家電品などをX線で撮影した写真。そして時計などの精密機械のすべての部品が分解されていたり、人工骨の小さな間接部分から15センチ大のものまで現物が並べられていた。


 とりわけ、電気スタンドや掃除機などの家電品のX線写真はシンメトリックだったり、無駄が削ぎ落とされたデザインが際立ち、クールできれい。機能美の神髄みたいだった。人間の動きを支える人工骨の、銀色のメタリックな曲線もある意味、セクシーでもあった。


 しかし。
 ぼくには、先の動物たちの骨のほうが、断然魅力的で、はるかにセクシーに映った。それは、いったいなぜか。・・・・・・生き死にがかかっているかどうか、ではないか。食うか食われるか、という日常の危機を生きている動物たちにとって、骨格、つまりボディデザインは、よりヒリヒリするほど切実なものだからだと考えた。


 それが動物の骨にあって、家電品のX線写真にはない「行間」。
 それなら、日常的に食うか食われるかの危機からは隔離された、人間の骨が情けないほどに三枚目なのも説明がつく(これもX線写真でした)。

 ・・・・・・きちんと死を見すえて、日々をあくせく生きることはまんざらでもないんだな。そう思うと、ぼくは少し救われた。
「自分の役割を知って、しっかり生きてる人は美しいのよ」
 取材先で聞いた、ピーコさんの言葉がふいに思い出された。