東京新聞❤(ラブ)対談記事「戦後64年 平和への忘れもの」

 15日の続きです。

安田 飯田さんの話をお聞きしながら、日本の兵士たちもチェスの駒のように死んでいったのではないかと思いました。ただ戦争を経験していない私が、彼らの声をどこまで伝えることができるのかと、私自身に対する不満はありました。イラク人は今の平和な日本にあこがれていますが、日本に本当に平和が存在するのか、戦争を体験された方に話を聞いて、自分なりの答を出してみたいと思いました。


飯田 偉い。それだけの鋭い感性と洞察力を持った二十二歳の女性に会ったのは初めてだな。戦争は決して半世紀以上前の過去の出来事ではなく、あなたたち若い世代がこれから当面しなくてはならない出来事と、すべてがつながっている。そして未来に希望を託せないのなら、私が自分をさらけ出し、嘔吐をもよおすようなことを語る必要もない。黙って死んでいけばいいんです。あなたの話を聞いて、未来に期待した私は間違っていなかった、という思いが心の中にわき上がってきた。    

 64歳の年齢差を跳び超えて、戦争経験者と非経験者がつながった瞬間。ことばの力、対話する力、わからないからこそ考えつづける力に圧倒された。興味がある人はぜひ読んでみてください。対談の終わり方もいいんだな。

安田 飯田さんのように痛みを覚悟でお話していただける人に感謝しながら、私も未来を見つめていきたい。


飯田 あなたの今の言葉をね、孫にね、伝える。ありがとう。


 飯田さんを主人公にしたドキュメンタリー映画「昭和八十四年 1億3千万分の1の覚え書き」が渋谷アップリンクXで、8月22日から上映予定。