一方的に「まいった」話


 えっ、マジかよ。仕事をする気がいっぺんに失せた。朝の散歩と体操を終え、今年2回目の熱いお茶をすすりながら朝刊をめくり、さあ、原稿書こうとパソコンを立ち上げたときだった。


 中村獅童って、今度は黒木メイサと付き合ってるみたいよ。・・・完全にカブってるよねぇ。でも、なんでモテるんだろうねぇ。寝室から出てきた奥さんが、ニヤニヤしながらお節介にも教えてくれた。テレビをつけたら、ちょうど二人の熱愛報道をやっていたらしい。16歳下だって。


 ぼくは女優・竹内結子も以前から好きで、いつかインタヴューする日をひそかに夢見てた。もちろん、妄想だ、それで何が悪い!そ、そしたら、あの獅童のやつが勝手に奪い去った上に、こともあろうに浮気発覚で彼女をシングルマザーにしてしまいやがった。彼女のそんな気の強さを知って、結子さまへの想いはいっそう募った部分はたしかにある。


 今度は、彼女以来ひさびさに「インタヴュー終了後の遅いランチ」妄想をいだいている黒木メイサが相手だというんだから、まいった。ただし、獅童はセンスがいいことは認める。まっ、引いてみれば、一方的にオジサン一人がただまいっているだけの話ではある。