心で書く文章 頭で書く文章(広島にて)


 あるピアノに寄せられた感想文を読んだ。
 くわしいことは書けないが、小学生1年生から6年生、さらには中学生と保護者までの文章があった。

 
 一番すごかったのは小学校1年生のもので、自分がピアノの立場になって、ある事件を懸命に想像し、その悲劇の痛みを分かちあおうとしていた。
 一番つまらなかったのは、30代の保護者の文章。どれも一様に「今回は貴重な機会をありがとうございました」で始まり、「平和について改めて考えさせられました」で終わっていた。よくまとまっていて、どれもからっぽのスカスカ。


 子供たちがきちんと心を震わせて自分なりの言葉で書いているのにくらべて、大人はどれも頭の隅っこにある、どこかで見聞きした言葉をテキトーにカトペして並べているだけだった。それがレントゲン写真みたいにあからさまなのだ。


 自分でも無意識のまま大人は、「どうせ」や「しかたない」だけに取り囲まれて、心の中身がスカスカになっていく。