セバスチャン・サルガド『アフリカ』(都写真美術館、すでに13日で終了済み)

rosa412009-12-15



 最終日13日(日)午前10時の開館10分前に着くと、都写真美術館前にはすでの30人ほどの行例ができていた。開館直前にはぼくの後ろにそれ以上の人が並んでいた。じつは前日、都庁で東京マラソンのボランティア説明会に参加後、同じ場所に来ると1時間待ちといわれたので、ぼくは翌朝一番で来ようと出直していた。


 だけど、セバスチャン・サルガドの写真展にこれだけの人が並ぶなんて素敵なこと。だから悪い気はしない。


 砂漠の斜面が右から左斜め下に伸びるところを往く母子を、左後方から撮影したモノクロ写真がある。その前で20分以上、ぼくはまんじりともせず向き合っていた。
 やせた母親は2人の幼子を連れている。母親の右側の子は、母親の影に隠れてお腹から足にかけて垣間見える程度。手前の裸の子供は男か女かわからない。ただ、そのあばら骨は浮き立ち、お尻の肉は包丁か何かで削ぎ落としたかのようだし、裸足の両腿は棒のように細く、その分だけ膝頭付近が唯一節くれ立って見える。


 一見、内戦に翻弄される人たちを写しているように見える。
 だが、どうもサルガドの眼はそれだけを見ているようには思えなくて、しばらく向き合ってみた。                          (つづく)