谷川真理ハーフマラソン

 下手の横好きにもほどがある。17キロすぎで失速。車でいえば、完全なガス欠だった。


 最初の10キロは約51分。去年が前半10キロが52分、残り11キロ強が53分。それが走る前の目安だったから、少々早い程度のはずだったが、折り返し地点を回った時点で去年のように、よしここから飛ばすぞという状況ではもはやなかった。


 まるでフルマラソンの35キロすぎみたいに、17キロから足が動かなくなった。結局、1時間53分でゴール。後半の11キロ強で約1時間2分もかかったことになる。ひどいザマだ。残り4キロの惨めさったら、パンツ一丁で人前に引きずり出されたようなもんだった。
 同時に、こんなひりひりするリアリティは滅多にないと感じている自分もいた。40歳半ばをすぎて衆目の只中、こんな情けない目にあうこともそうはない。


 唯一の収穫をあげれば、12キロから17キロまでの約5キロ、胸を張って肩甲骨を大きく動かすことで、重たい両脚を引っ張るようにして粘れたこと。うまく背中を使って走れたことは、来月の青梅でも活かせるはずだ。


 すっかり傷んだ気持ちを行きつけの銭湯のお湯にひたし、奥さんの作ってくれた豚しゃぶでいやし、早めにもぐり込んだベッドの中で内田百けん阿房列車』の、とぼけた味わいのある文章で満たした。ごまかしようのない惨めさも、人を食ったような文章にニヤニヤする愉快さもふくめて、人間生きてるだけで丸儲け、っと。