みのれ〜ず通信(2)


 はぁ〜、そう深いため息をもらしてしまう。
首筋を照りつける日差しが熱く、水を張った田んぼにそれが乱反射する。
 足が田んぼのぬかるみに取られて、極端に重たい。大人や子供らと横一列に並んで、田植えをしながら、思うようにいかずに少し苛立つ。


 農家さんから購入した、生命力みなぎる、きれいな緑色の苗代。
 花のつぼみみたいにどこか隆々として、今にも弾けてしまいそうな緑。それを2本から3本ずつ引きちぎり、水をはった田んぼに深さ3センチを目安に植えていく。これがカイワレ大根の根っこより固くて、なかなか引きちぎれない。


 そのうえ、ぼくが担当する田んぼの一番右端は、ぬかるみが深くて植えづらい。
 水かさが多くて無理なところも多い。ひどいと膝下ぎりぎりまで水に浸かる。そのうえ、場所によっては左右に移動するにも、ひと苦労させられる。
 時々、こめかみがちくちくと痛みだした。予想以上にきつい。カエルの鳴き声だけが、無頓着に、のどかに響きわたっている。


 ・・・・・・大人も子供も、自分で一度食べ物を栽培すれば、いたずらに食べ残りしたり、むやみに安いお米に飛びつくことへの羞恥心がめばえる可能性があるなぁ・・・・・、身体の辛さをアースするかのように、そんなことが思い浮かんだ。もちろん、46年間、ぼくもやってこなかったんだけどね。