「陰影礼賛」展(2)ー意味や権威を押し潰した先

 思わず、声を出して笑ってしまった。
 時代順に、陰や影をテーマにした絵画を見てきた最後がポップアートで、まず、ロイ・リキテンシュタインの「ルームメイト」(1994年作品)が展示されていた。人物の影が「●(ドット)」の大小で描かれていた。


 それまでの作品が、時代背景や画家たちの意図の中で、何らかの「意味」を影や陰に持たせてきた歴史だとすれば、それらの「意味」をペラペラな「●」に押しつぶすことで打ち壊す。壊すことで、新たな「意味」、もしくは「絵画」を創りだそうとする。そんなポップアートの役割を、●そのものがくしくも体現していたから。


 それは「新聞」というカタチがもつ権威めいたものが、パソコンモニターでインターネット上に掲載されることで、大なり小なり、2チャンネルや個人のブログと同等の平板な「文字情報」に貶(おとし)められてしまう光景とダブッて見えた。
 そこには功と罪の両方があって、ぼくらの現在はそれを意識するしないにかかわらず、すでにその延長線上で営まれていて、もっとハッキリとその功罪と、近い将来向き合わなくてはいけなくなるはずだ。