大人の油揚げ丼(千葉県香取郡「月のとうふ」

 ああっ、オレも大人になったなぁと思う瞬間がたまにある。
 千葉県香取郡神崎町というところへ、東京から快速エアポート成田空港行きという電車に乗り、成田でさらにのりついで、約2時間半もかかった。その時間だけを考えれば、新幹線で新大阪までいける行程。


 だが、これを一口食べたとき、その往復5時間は吹っ飛んだね。国産大豆と、天然醸造の酒蔵がある町の地下水、そして海水由来の天然にがり。その3つ以外によけいなものは一切加えない、なんともクリーミー有機大豆の味が口の中いっぱいに広がる「月のとうふ」の絹こし(200円)。それと同じ素材を菜種油でじっくりと揚げた、この店の油揚げ(90円)。


 これをオーブントースタで少々焦げ目がつくぐらいに焼き、生姜をめいっぱいすり下ろした、茨城県常陸太田市ヨネビシ醤油が作る二度仕込みの米菱減塩醤油につけ、彩りで刻んだ万能ネギを少々のっけて、炊きたてのマイ無農薬米にのっけて口に放り込む。


 パリサクッとした食感の後に、菜種油と油揚げそのものの濃くがきて、さらにコシヒカリの甘みが追いかけてくる。う〜〜ん。あるいは、同じく焼いた油揚げに、ミネラル分たっぷりのペルーのインカ塩を適量まぶしてパリサクッといくと、これもあっさりとしながら適度な濃くでいい。
 さらに、同じく月のとうふの厚揚げ(200円)を同じ要領でいただくと、これは先のクリーミィなお豆腐味がのっかってきてグラマラスな味。・・・・・そして思い返してみる。


 ガキの頃から長らく、油揚げなんてお味噌汁の脇役めいたものとしか見てなかった。そんな自分が今、下手な牛丼や親子丼以上の感激で、そのうえに少々通ぶったりしながら、こんがり焼いた自前油揚げ&厚揚げ丼を堪能している。これは、どう考えたってオジサンにならないとわかんない境地だよなぁ〜。しかも合計たった290円+米代(タダ)。