昭和56年ラベルの梅酒

 飲む際にフッと梅酒の香りがきて、口にふくむと舌を押すどっしりとした重量感がある。飲みこむと紹興酒のような濃くとキレが立ちあがり、後口に梅酒の甘みがふたたび舌の上にすうっと広がる。
 

 昭和56年に漬けた梅酒をいただいた。
 1981年だから、約30年間開封されずにいたもの。予想外の紹興酒めいたその味わいに驚かされた。うれしい誤算とはこのことで、大人の梅酒然としている。


 過ごした時間を豊穣な味わいに変える。
 言葉にすると簡単だけれど、それはけっして簡単なことではない。自分の仕事や暮らし方、あるいは人との接し方を顧みれば、すぐにわかること。一人あれこれ思い返しながら味わう時間にもなる。この冬の寝酒は、焼酎のホットプ―アール茶割りやホット・ウイスキーより、こちらが主役になりそうだ。