NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」第1回 ”外交敗戦”孤立への道

 現実を見誤った楽観主義と場当たり的対応、そして相反する動きをコントロールできない統率力の欠落――それは昔も今も、政府や企業をふくめた日本人の集団の多くが、性こりもなく繰り返している失敗の3大要因かもしれない。いや、とくに日本人とくくる必要はないか。
 ただし、日本人の多くは原理原則というものを持たない。
 それは「融通がきく」とか、「融通をきかせる」という玉虫色の言葉で語られることが多い。日本人の長所でもあるその独特な柔軟さは、いったん悪い循環に陥ると、先の要因などともあいまって、目も当てられない短所へとあっさりと反転してしまう。もちろん、スチャラカにとっても他人事ではない。
 友人が制作にかかわったNHKスペシャル「”外交敗戦”孤立への道」と題する第1回分の放送を観終えて、そう思った。


「日本人はなぜ(第二次世界大戦時に)戦争へと向かったのか」という視点から、番組は国内のみならず、イギリスやポーランドの公文書、政府関係者らの証言記録を精査しながら、その実像に迫ろうとする。


 満州国をめぐる利権の維持ゆえに、国際連盟からの脱退、そして第二次世界大戦への道を進んでいく過程で、日本が国際的孤立を回避しようとして、結果的にはいっそう孤立を深め、日独伊三国同盟による敗戦へと傾斜していく過程が、数々の証言で露になっていく。
 とりわけ、この過程のわずか6年間で、首相が7人も変わらざるをえなかったという事実が、まるでブラックユーモアめいていていて苦笑せざるをえない。第2回も期待したい。