田んぼに水が貯まらない

 田んぼに水が貯まらない。
 それがこの三週間ほど、みのれーずメンバーの悩みの種だった。他のメンバーが入れ替わり立ち替わり、対策を講じてくれたおかげで、状況はかなり改善していたのだけれど、まだ100%とはいかなかった。モグラが掘った穴まで見つかったりして。

 
 この日は、はじめて全メンバー6名が勢揃い(10歳の男の子をふくむ)。田んぼ敷地内の凹凸をトンボなどを使ってひたすら均(なら)しつつ、畦を泥で塗り固めたりした。だが、トンボだと軽すぎて、なかなか思うように整地できない。


 そこで他の田んぼメンバーから教えてもらった整地方法を試す。長さ1m30ほどの板の両端をロープで結び、10歳の男の子に乗ってもらい、ロープを肩にかけた2人で引っ張った。まっ、水牛の代わりに人力作業ってわけだ。田んぼウェイクボードと言ってもいい。モッ、モッ、モォ〜〜と雄叫びをあげたくなる衝動にかられる。


 これが意外ときれいに整地できるんだな。そのうち、50代のカメラマンが乗り出すと、トンボの3倍は凸凹がきれいになり、ウェイクボードが通った後は、その両端から水が流れこんでいく。人生初の田植え用地下足袋(裏側はゴム)は、長靴みたいに泥に脚をとられて脱げる心配もなく、じつに歩きやすい。


 小雨に濡れて、しだいに大人の泥んこ遊びみたいな空気がたちこめてくる。母方の祖父が京都の農家だったせいで、そのDNAがうずくのか。なんか面白くなってきた。最後は、発酵をうながす米ぬかをまき散らして作業終了。さて、来週末は田植えができるのだろうか。