池田晶子著『暮らしの哲学』

「なぜ自分はここに生まれて、あそこに生まれなかったのかということは、考えても、理由がない。理由が見つからない。ということは偶然である。したがって絶対である。この、偶然的なことが絶対的であるという原点に気がついていると、自分の人生に、言ってみると腹が据わるんですね。人と比較することがなくなるですよ、だって絶対なんだから」


「五十六十の歳まで、病気を知らず、風邪くらいしかひかず、元気に思うように生きてきた健康優良な人は、よく言えば明朗で気持ちのよいものですが、悪く言えばツルッとして面白味がない。心にダシが効いてないぶん大味で、話していてどうにもつまらないような感じがする」


 こういう行間のある言葉にふれるために、あるいは自分なりの気づきや、すこやかな諦念を手にするために、今日や明日があるんだと思うと、けっこういい。ボナペティ(どうぞ、召し上がれ)!

暮らしの哲学

暮らしの哲学