NHK「ETV特集 生き残った日本人へ 高村薫 復興を問う」


 不意打ちの言葉だった。
 震災から1年たっても電気も水道も止まっている自宅に、取材陣を招き入れた70代の漁師はこう言った。
 まずは教育でしょう、と。
 この家を元通りにしたからって、人はつくれない。だけど教育なら人がつくれる。人がつくれれば、きっとこの土地の誰かを助けてくれる。だから同じお金を使うなら、教育に使った方がいい。
 自分の漁師人生の、あるいは家族との喜怒哀楽の思い出が詰まっているだろうかつての住居で、多くのものを失っただろう彼は被災地の未来について語っていた。