串カツ温泉〜大阪・新世界「八重勝」本店

 店内中央の厨房の三方を囲むようにカウンターがある。サラリーマンの連れ、若いカップル、小学生の子供2人をはさんで両親、ワケありげな熟年カップル、若い兄ちゃんたち・・・・・。そこに不意に登場したのは、「兄ちゃん、持ち帰り頼むわ!」と声をかけた、ジャンジャン横町の住人っぽいオジさん。

 みんな何のてらいもなく、飲み、食い、話し、笑い、怒り、そしてまた飲み食い、笑い怒る。肩が触れ合うので、隣の声なんて丸聞こえのはずだが、それぞれが連れと話していると、微妙に聞こえづらいのがミソ。そのせいか、しだいに声のトーンは高くなり、その分、お腹にたまったイライラやモヤモヤを適度に吐き出し、その空いたところを、串カツとビールや熱燗の酒が心地よく埋めていく。

 先々週、関西取材の初日終了後、学生時代の友人の案内で出かけた新世界「八重勝」は、さながら汗と垢と疲れを洗い流す公衆浴場のようだった。