絵本作家モーリス・センダックが世界中で愛される理由〜NHKBSプレミア スパイク・ジョーンズ監督作『かいじゅうたちのいるところ』
だれもがすかれたいとおもう。すきになるのはかんたんだけど、それはやっぱりドキドキするぶん、こわいことでもあるから。それに、すかれることのほうがらくだし、うれしいから。
だれもがことばにしようとする。ほんとうはことばになんかならないんだけれど、ことばにしたほうがあいてにもかんたんにつたわるし、じぶんもあんしんできるから。それに、ことばにするだけなら、なんのどりょくもがまんも、おもいやりもいらないから。
だれもがさびしさをもてあましている。だから、すかれたいとおもう。だから、すきだよとことばにしたがる。でもどうじにきっと、みんなわかっている。さびしさをどんなにこすりあわせてもしあわせにはなれないし、ことばはいつだってかんたんにうそにかわること。
たぶん、このしょうねんとかいじゅうたちみたいに、いっしょにワオーッワオーッておたけびさえあげてれば、だいじょうぶ。そしてよるになったら、なかよくおりかさなって、おたがいのさみしさとあたたかさをかんじながらねむりにつければ、きっとだいじょうぶ。