実りの秋へ向かう

 お日様と土中の養分と水と、私たちの汗や労力を集めた稲穂がたわわに実ってきた。濃いオレンジ色のコスモスが、一面の稲穂に秋の彩りを加えている。ひさしぶりの田んぼデイズ。
 畔や田んぼの中に生い茂った雑草を、草刈り機でひたすら刈り取る。下から上へ、草刈り機の扱い方も、だいぶ上手くなったことを実感できてうれしい。すぐに全身汗まみれになり、ぐびぐびとアクエリアスを飲み干す。ああっ、練乳入りのかき氷が食・い・た・い。

 冷たい山の水を後頭部に注ぐと、ぐっと生き返ったように感じる。シャワーをあびたい気持ちをこらえて、タオルを濡らして上半身だけ拭いて、Tシャツに着替えるだけでもさっぱりする。作業を終えて、地元の古民家の離れを借りた田んぼ仲間の家をのぞき、古民家再生の片鱗にふれる。暮らすことを住む場所から手作りする。その姿勢がカッコイイと分かるのは、田んぼで米を作る経験則と感受性があるからだ。

 帰途、いつも玄米の脱穀をお願いしている有機農家さん宅に立寄り、瓜とオクラと万願寺とうがらしなどを各自200円、300円で買う。すると、余ったものは持って帰ってと、茄子やきキュウリ、オクラなどをまたまた袋いっぱい頂く。採れたての万願寺とうがらしは、その場で生のまま食べても甘辛くてうまい。市場に出せないだけで、味は同じ。農家さんとじかにつながると、こんな特典もある。都市生活と田舎生活と2つのチャンネルが、心と身体と舌をリフレッシュしてくれる。

 雨が降ったり強い日差しが照りつけたりした一日の終わり、入道雲の名残りのような夕暮れを正面に見ながら、身体をめいっぱい使って働いて帰京する清々しさったら、ない。他方で、時に頭ばっかり使って身体を動かさないと、目が冴えてなかなか眠れなかったりする自分のバランスの悪さが、身にしみる。