上には上がいる〜いたばしリバーサイドハーフマラソン


 折り返し地点を回った後の17キロ過ぎ、ペースアップしながら走っていると、きれいなフォームで前を走る白髪の男性が目に留まった。背中を少し丸めて、上体を気持ち左に傾けながらだが上下動のない、つまりは無駄のない走り方。きれいに隆起したふくらはぎを見れば、走り込んで築き上げられたフォームなのだろう。


 このペースで、こんな年上のランナーがいるんか、と少し驚かされた。おそらく2時間は切られるだろう。抜く瞬間、敬意をこめてファイトと小さく声をかけさせていただいた。こういう70代になりたいなぁと49歳に思わせる、その一点だけでじゅうぶんにカッコイイ。


 天気は快晴。スタートの午前10時時点で気温7度、湿度30%。空気は冷たかったが走り出すと日差しの強さか発汗量が多い。前半はゆっくりペースで入ったが暑くて、10キロ過ぎにまず手袋を外す。自分のペースを引き上げてくれそうなランナーを前方に見つけて、その人の背後につき、イメージ通りの展開に持ち込む。そこですれ違ったのが、冒頭の70代ランナーだった。


 記録は1時間48分47秒。この日参加した40歳代975人中、きっかり300位。平均5分10秒前後だからまぁまぁ。ベストタイムには3分足りなかったが、最後の5キロも肩甲骨を大きく振れたし、身体はよく動いた。あと2、3キロなら同じペースで走れたと思うから、あえて言えば前半がちょっと慎重すぎたかなぁ。だが、最後の最後でペースダウンしたベスト記録時より、レース全体をうまくマネジメントできた。この調子で、3月の京都マラソンに向け、次の30キロレースも満足できるものにしたい。


 ゴール後に着替えていたら、70歳代の表彰式の模様が場内にアナウンスされて、なんと1位は1時間33分台と耳を疑うような記録が発表された。大会新記録だという。ちなみに前回大会の70歳代のトップは1時間49分台。世の中、上には上がいる。