無駄遣い〜荒川30Kレース

 いのちが喜んでいるなぁ、出し抜けにそんな思いが身体のどこからか湧きあがってきた。どくんどくんと音を立てる心臓を、両手の平で鷲づかみにしている感じ。きっぱりと晴れ上がった空、少し熱いぐらいの日差しと、それをまばゆく乱反射させる荒川の川面を横目に、黙々とペースを刻みながらだのこと。


 前半15キロは6分のペースメーカーの後方で、そして折り返し地点をすぎて、少しずつペースアップし、残り10キロを5分40秒/キロのペースでまとめ、3月の京都マラソンを意識して、残り12キロもこのまま走れまっせ、ぐらいの余裕を残して終わる。それが当初のレースプランだった。25キロまでの10キロで約4分タイムを短縮だから、平均5分36秒/キロペースだったことになる。


 このままいくか、もうちょっと飛ばすかをここでちょっと迷った。そして出し切りたいという気持ちが勝ったのは26キロ過ぎ。肩甲骨と骨盤を大きく動かし、より体幹を使ってストライドを広げる。2時間50分を切って青梅30Kの記録を更新したいと欲が出た。結果は2時間47分04秒で青梅を1分半ほど上回った。


 何度もうんざりさせられたけれど遅まきながら恥ずかしながらやっと、せっかちな自分を抑え、長距離をマネジメントする走り方がわかってきた。そしていのちは無駄遣いすればするほどより強く脈打つことも。