合唱マジック〜NHK-BS1「ギャレス・マローンの職場で歌おう」


   
    合唱で仕事がおもしろくなる? 職場がたのしくなる? たぶん、そんなこと誰も信じないだろう。だが、この番組を見れば、合唱のマジックパワーを疑う人は急減するはずだ。イギリスでもっとも忙しい4つの職場で、合唱コンクールへの参加希望者を募り、ギャレス・マローンがそこから30人を選び、指導していく姿を記録したドキュメンタリー番組「職場で歌おう」



   第一回の昨夜は大手病院が舞台。感情を極力出さずに仕事をこなしていく人たちに、気持ちを解き放ち、感情をこめて歌を歌うことを求めて行く。上級医師から薬剤の配送人まで普段は接することも、話すこともないメンバーが胸襟を少しずつ開きながら練習を重ね、患者さんや職場の同僚の前で披露する。役職を取っ払い、歌のうまい人がソロをとり、合唱団を引っ張って行く。


   昨日の病院編では、内気なセラピストの女性がソロに選ばれ、聴覚障害を持つ娘の前で練習しながら、戸惑いがちな心をゆっくりと解き放っていく姿にグッときた。


   歌うことは自分を解き放つこと。だから聴くものの心を揺さぶらずにはおかない。娘の障害を受けとめ、家族と共有して前進しようとする軌跡が、彼女の歌により説得力を与えていたことに気づかされる。シンプルだから強くて深い物語は、最後のコンクールでどんな結末を迎えるのか。放送は深夜0時から1時で、来週火曜日までつづく。写真は、第2回目の郵便局編。