慰撫する歌〜R.E.M『Everybody hurts』


    ひょんなことから歌と出合う。このブログでも書いた、NHK-BS1の世界のドキュメンタリー「職場で歌おう」の中で、大病院の合唱団が歌っていたのが、R.E.Mの「Everybody hurts」だった。英語がすぐ胸に刺さらないから洋楽は苦手だけど、その切ない表題にぴったりな旋律にはやっぱり胸がざわざわした。


    Youtubeで検索して、まずマイケル・スタイプのボーカルに惹かれた。つづいて、そのプロモビデオのカッコ良さにしびれた。歌詞を見つけて、わからない熟語をいくつかネットで調べてみると(こういうときにネットは便利!)、さらに心をムギュッと鷲づかみにされた。

Well, everybody hurts sometimes
Everybody cries
Everybody hurts sometimes
And everybody hurts sometimes

So hold on, hold on
Hold on, hold on, hold on, hold on, hold on, hold on
Everybody hurts

     歌詞の「hold on(持ちこたえろ、しっかりつかまれ) 」と「hang on(しがみつけ、すがりつけ)」が、韻を踏んで挿入されている。島国の内外で、誰の心にも大なり小なり潜む邪悪さを制御できなくなった人たちがブラウン管を騒がせ、それに発情した人たちがヨダレを滴らせて彼らに蠅のように堆(うずたか)くたかっている。そんな世の中を、そして人々を夕陽やさざ波のような穏やかさで慰撫する歌。もう22年も前に生まれたものだけれど。