ちっぽけなこと

 両足の親指と人指し指に、重心がしっかりと乗っている。
 走り出して15分ぐらい過ぎて、いつもの川沿いのコースに出てから、そのことに気づいた。先の水曜日のこと。もう7年近く走ってきたが、この感覚は初めてで素直にうれしかった。


 6月に100キロを完走してから、夏の間は走る量はかなり減らしながら、1日30、40分の体幹レーニングをこつこつ続けている。その中にチューブトレーニングが1種目だけある。両膝の少し上に幅10センチほどのチューブつけて、片脚立ちしながら、もう片方の脚を陸上のハードル走選手のように膝を曲げて、体と垂直になる高さまで上げて前に踏み出す練習。


 最初の頃は、どうしても重心が小指側に偏って上体が傾いたり、踏み出す足が着いてしまったりしていた。それが股関節周りに筋肉が少しついたのか、動かす足を着ける回数が次第に減り、先の火曜日には、片脚立ちする足の小指側とは反対の、親指側に重心があることをはじめて体感できた。
 さらには翌日のランニングの際、冒頭で書いたように、チューブトレと同じ感覚を感じることができた。誰の目にも留まらない些細なことだけれど、ちっぽけな達成感がじわじわとこみ上げてきて一人ほくそ笑んだ。