したたりおちるうた(あいみょん in 六本木ヒルズアリーナ)


 夕方の空の下、彼女の唄声がきれいに伸びて広がる。セーラー服で飛び降り自殺した女の子を素材にした、『生きていたんだよな』でオープニング。


「(前略)
 精一杯勇気を振りしぼって彼女は空を飛んだ 
 鳥になって空をつかんで
 風になって遥か遠くへ 
 希望を抱いて飛んで
 生きて生きて生きて生きて生きて
 生きて生きて生きていたんだよな
 (中略)
 最後の「さよなら」は誰にでもなく
 自分に叫んだんだろう
 さようなら さようなら  」


 この日は歌われなかった『貴方解剖純愛歌〜死ね〜』は、こんな歌詞から始まる。


「あなたの両手を切り落として
 私の腰に巻きつければ
 あなたはもう二度と他の女を抱けないわ   」


 あいみょんは「愛」をひっくり返して、叩きわって、引きちぎる。そこからこぼれ出てくる「刹那」や「憎悪」や「憤怒」が駈けだしたり、シャウトしたりする旋律をまとって唄がしたたり落ちる。