「ウメジャン」ファンク


「梅じゃね?」でもなければ、「梅じゃん!」でもなくてウメジャン。梅雨入り前後に出回る青梅を、この5年ほどジュースとジャムにしている。夏バテ防止用で、その作業時期を「ウメジャン」と勝手に呼んでいる。学生時代に1年間暮らした韓国でキムチを漬ける時節を「キムジャン」と呼ぶので、それを真似しただけ。


「ファンキーな生き方ぁ〜        ファンキーな死に方ぁ〜♪」


 青梅を4キロ買ってきて水洗いし、爪楊枝でヘタをとってから2キロは2日ほど放置していると、甘酸っぱい匂いを放ちながら黄色くなる。ジャムはそれに熱湯をかけて2分ほど浸け、実をふやかしてから片手鍋で白砂糖とコトコト煮る。溶けた砂糖を吸って膨らんだ実を、時おり木ヘラで押しつぶす。
 残り2キロのジュース用は、ジップロック2袋に分け入れて冷凍。それを出してガラス容器に氷砂糖と交互に、ミルフィーユ状に入れていく。いったん凍らせることで実をほぐしやすくして、梅の発酵を早めるためだ。


「ファンキーな生き方ぁ〜        ファンキーな死に方ぁ〜♪」


せっかくの日曜日に雨はまだ降っている。
コトコトと片手鍋が音を立てている。
ふと韓国・太田市の高速バスターミナルで来るはずもない
人をずっと待っていた昔を思い出す。あれもウメジャンの頃。
現実に戻ると妻は寝室で寝息を立てていて、
僕は青梅が出すアクを時折すくい取っている。
サニーデイ・サービスの「街角のファンク」が繰り返し流れている。


「ファンキーな生き方ぁ〜        ファンキーな死に方ぁ〜♪        遅かれ早かれ僕たちは          甘いキャンディーを探し出して 」